360度評価とかいう制度、しんどくてつらいので早く廃れてほしいと思ってる

会社勤めのビジネスマンにとって、避けては通れないのが人事評価だ。昇給やボーナス、上司の圧力などのために、やりたくないことを思いながら日夜精を出す。当然だ。仕事は遊びではないのだから。この人間がどれだけ仕事で成果を納めたのかを評価しなければ組織が衰退する。いや、むしろ評価されないと困る。しんどいしんどいと思いながら血反吐を吐く思いで毎日通っているから、きちんと私の仕事を評価してもらわなければ困る。

だが、だがしかし、360度評価、こいつだけは許せない。

読者の皆さんは360度評価という人事評価制度をご存じだろうか?

360度評価は、評価対象者の上司や同僚、部下などさまざまな立場の人物が、評価対象者を多角的に評価する制度です。従来の上司からのみ評価される制度と比べ、公平で客観的な評価が得られやすいことから、評価対象者が納得しやすいのが特徴です。

(出典: [kaonavi人事用語集](https://www.kaonavi.jp/dictionary/360-degree-evaluation/))

要は、これまで上司の顔色だけ窺っていれば良かったのに、この制度のおかげで360度あらゆる角度から撃たれる覚悟をもって仕事をしなければならなくなったのだ。

私はこの360度評価なるシステムのことは、勤務先の会社で導入されるまで全然知らなかったが、今ではナウでヤングなイケてる企業ではそこそこ常識的な知名度を誇るシステムのようだ。

恐れながら申しあげると、こいつが人事制度界(そんなのある?)で一定の立場を保っていることに大いに疑問を感じている。

ここがつらいよ360

見るのがしんどい

他人からの評価とか見るのつらくない?私はつらい。それが誉め言葉であっても、なんだかこそばゆい。なんなら褒めの内容がしょぼいと、「ああ、私って褒めるとこそこくらいしかないのね」と思ってしまう。これが、改善のための指摘事項だったり日には、しんどくてPCの画面を正視していられない。私は360評価を確認する際は、平静を保つ自信がないので自席ではなくひと気のない隅っこの方で見るようにしている。

これが、上司からの評価ならば問題ないのだ。まだ耐えられる。なぜなら上司の評価=会社の評価として受け止められるからだ。会社の目標達成に対して自分は役に立ったかどうか、シンプルにとらえることができる。

しかし、同僚からの評価は無理だ。仕事の評価ではなく、周りの人にどう思われているか、という「自分にとっての世間体」に一気に傾いてしまう。私のような人付き合いが苦手な人間にとっては、この制度そのものが心を削り取ってくるのである。

だいたい自覚してる

とは言え、同僚も鬼ではないので、実際ダメ出しのような直接的なダメージを与えてくるようなことを書かれることはほとんどない。恐る恐る薄目でちらちら見たその内容は、「ああ、確かにその通りなのよね」と思うものばかり。オブラートに何重にも包まれたものを剥いていくと、そこにあるのは自覚がありつつも中々改善に至らないもの。

・・・これ、意味ありますか?

言われなくたってわかってるんだよ!!! と叫びたくならないだろうか。ハゲを自覚している人に「あなたハゲですね」と言ったらそれはもう戦争するしかないのである。いくら匿名での評価とは言え、書いているのはアイツらの中の誰かなわけだ。そんな狭いコミュニティの中で積極的に地雷を踏んで誰かのメンタルを踏み壊したくないと思うのが和の国の民の性である。無難なコメントをし合うようになり、行きつく先は、なれ合いではないだろうか。

これ見て改善しても評価につながらない

百歩譲って、フィードバックの内容を見て一念発起し、何らかの形で改善を施したとしよう。それが評価につながるとは限らないのである。評価につながらない改善って、それこそ自己満足やなれ合いではないか。

私の勤めている会社では、あくまでも自己反省を促す制度として導入されているため、360度評価での内容が直接人事評価に影響することはない(と言うことになっている)。たまたま評価者のコメントが会社の方針に合致している形のフィードバックでたまたま評価される可能性もある。 が、誰も保証してはくれないのだ。

これが上司からのフィードバックであれば、上司が保証してくれるから良い。上司に言われたから改善したのに評価されなかったら、その時は上司にキレれば良い。怒りの矛先が明確なのは精神衛生上もよろしい。これが誰からかわからないフィードバックであればどうか? アイツらの中の誰かめ~!なんて曖昧なキレ方をしても疑心暗鬼とストレスが増すばかりである。

書くのはもっとしんどい

さて、ここまで評価される側の視点で文句を言ってきたが、360度評価である以上、自分も誰かを評価しなくてはならない。だがしかし、これがなかなかしんどい。うっかり誰かの地雷を踏んでしまうことは大変だ。誰かが私の知らぬところで私の書いた内容のせいで悶絶していたら大変申し訳ない。かと言って「あなたの知見をもっと教えてください!」なんて、クソの役にも立たない空気のようなコメントをしたくない。書くからには本人の役に立ちたい。私はマジメなのである。そんなことを考えながら書いていると、一人5分や10分では済まない。それを5人分、10人分と書いていると下手すると丸一日かかってしまう。

筆が乗ってくると、調子に乗って「あなたは素敵です」とか危険な領域にギリギリ片足を突っ込んだような文章を書き始めるので注意が必要だ。下手すればセクハラで懲戒だ。こんな危ない橋を私に渡らせるな。そんなことから、私は数日に分けて書くようにしている。

また、書く対象が多すぎるのも大変だが、少ないとこれはこれで困る。「ああ、私って信頼されていないんだな」と暗黙的な360度評価を受けている状態になる。戦わずして負けるというか、評価させてくれないのがお前への評価、みたいな感じだ。

・・・とまあ、このように360度評価は私にとって非常につらい制度である。

人事アンケートには毎回やめてくれと懇願する想いを綴っているが、今のところなくなる気配がない。

労働者同士がお互いを評価し合う・・・字面だけ見るとなんともディストピア間あふれる制度だ。 そんなこんなで、今日も私は誰かの評価を気にしながら他の誰かを評価している。

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