地元民が行く、上田市別所線の全駅観光の旅!【後編】
中塩田駅 - 10駅目
名前のとおり、中塩田地区にある駅。立地からして地区の玄関口的な役割を果たしていたのではないだろうか。 この駅も当然無人駅だが、かつては人で賑わっていたであろう立派な駅舎が残っている。
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保線用の車両がおかれているが、今は使われていないようだ。
待合室も他のどの中間駅よりも立派だ。
かつての改札の名残だろうか。無人駅なので、いくらでも改札ごっこを楽しめるぞ。
マイベスト別所線お洒落駅。
周辺情報
かつては商店街としての賑わいを見せていたのであろう。今はその残り香を感じるくらいである。
塩田地区名物「ため池」。上田市は全国でも有数の雨が少ない土地だ。 畑や田んぼが広がる塩田地区では、水の確保は死活問題であり、このようなため池がそこらじゅうにある。 今知ったが、農林水産省のため池百選に 選定されている。農林水産省よ、なんでも百選すればいいってもんじゃあないぞ。
子供の頃、ため池に張った氷の上で遊んでいて、割れてびしょびしょになったっけ・・・。あのころは無邪気だったなあ。
へへ、なんだかしんみりしちまったな・・・。
塩田町駅 - 11駅目
塩田地区の中心市街地(多分)にある駅。すぐ脇に中学校があるので、放課後になると騒がしい。
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すぐ目の前は塩田中学校の敷地。
周辺情報
駅のすぐ目の前にはウォーキングマップが。さすがに今からこれを歩く余力はない。
塩田地区には信州の鎌倉と言われる塩田平が広がっており、実は観光地が多いのである。健脚な人はぜひ周って欲しい。 なかでも無言館は、訪れれば残りの行程は無言になること必至の、自分の人生を考えさせられるスポットだ。公式サイト
無言館は窪島誠一郎氏により、信濃デッサン館の分館として平成9年に開館した美術館です。 第二次世界大戦中、志半ばで戦場に散った画学生たちの残した絵画や作品、イーゼルなどの愛用品を収蔵、展示しています。
※信濃デッサン館は無期限休館中とのこと。(2018年5月現在)
この看板、よくみると一番下に「全国遊歩百選認定コース」 とあるな。読売新聞よ、なんでも百選すればいいってもんじゃあないぞ。
中野駅 - 12駅目
さて、いよいよ山がグッと近くなり、人生の終焉を思わせる旅路もラストスパートである。
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何にもないーーー!!(山と畑がある)
いや、「何にもない」が「ある」のか。
周辺情報
住宅がある。
オアシスのように寺がある。
遮断機のない踏切がある。
次の電車まで40分以上ある。
・・・・
歩くか。
とうとう禁断の「徒歩で隣駅まで移動」を実行しまった田中。
まあ、全駅電車移動とは言っていないし問題ないだろう
と、なかば開き直りながら次の駅を目指す。
最高に晴れ渡った空と、寄り添いながらすーっと通る線路と道。
ため池の水面に映った、雄大だがどこか親しげのある山々。
ああ、
最高だ・・・
最高に・・・
暑っっっっっっい!!!!!
この日の上田市の最高気温は27.4℃。まったく雲のない快晴で、日陰のまったくない田んぼ道なので、数値以上に暑い!!
見えた!あれが終着駅だ!(違う)
舞田駅 - 13駅目
中野駅以上に「何もない」がある駅。今のわたしに一番必要なのは禅問答ではなく自販機である。
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まさにローカル線といった様子。畑の中を一本の線路がつら抜いていく様は地獄への片道切符か、はたまた栄光への架け橋か。
鉄道むすめの八木沢まいさんだけが癒し。
(名前の由来は、この舞田駅と次の八木沢駅から。)
次の電車まで30分もある。
・・・・
歩くか。
一度妥協してしまうと、2度3度とやってしまうのが人の常。 気温の暑さ・喉の乾きも手伝って、自販機求めて次の八木沢駅まで歩いて向かうことに。
のどかな田舎の風景に見えるだろうか?私には灼熱の大地に見える。
喉が・・・乾いたっっ・・!
都会人にはソーラーパネル群は珍しいだろうから記念に撮っておこう。
見えた!自販kっじゃない、八木沢駅!
八木沢駅 - 14駅目
こじんまりとした無人駅だが、駅舎はわりとしっかりしている。自販機がある。
駅舎に入ってすぐに階段が。足元に注意。
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こちらも鉄道むすめの八木沢まいさんのイラストつき。わたしの乾いた心にも雨上がりの虹がかかった。
なぜかこの駅に恋愛成就のイベント的なものが。
こっちにはハートのベンチが。みんなの恋が成就しますように。
周辺のロケ地マップが。上田市内もそうだが、このあたりはドラマや映画のロケ地として使われることが多い。
周辺情報
郵便ポスト
川
終着駅が近いからって、うかれて仕事が雑になっていますね。
残金
ろ、六百五十円・・・?
別所温泉で優雅に食事でもして、温泉まんじゅうを買って帰ろうと考えていた。 ここでふと心配になって財布の中身を確認した結果がこれである。
観光地で六百五十円では、お土産のキーホルダーくらいしか買えないではないか。
わたしの頭の中はここから一気に現実モードへ回帰していくことになった。
別所温泉駅 - 15駅目
途中で妥協や、金銭の心配もあったけど無事に終着駅に到着だ。 いわうもがな、ここ別所温泉は上田市別所地区に古くから存在する温泉街。 駅舎も、そんな風情を反映したレトロな造りとなっている。
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間違いなく終着駅。線路の終わりであり、始まり。
この外観は中塩田駅とお揃いだ。
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観光情報は、
自分で調べてどうぞ!
北向観音
北向観音堂は、平安時代初期の天長2年(825年)、比叡山延暦寺座主の慈覚大師円仁により開創された霊場です。
〜中略〜
北向観音様は北向に建立され 千手観音様を御本尊として現世利益を願い、また善光寺様は南向きに建立され阿弥陀様を御本尊として未来往生を願います。 現在と未来の片方だけですと片詣りと言われおり、向き合ってる両方をお詣りしたほうが良いと言われるようになりました。
北向観音の縁起 | 北向観音・常楽寺ウェブサイトより
別所温泉駅から、しばらく坂を登っていく。
途中左手にある階段をくだって
階段を登るとゴール。
抜け道的な小径が多くて、散策するのが面白い。
最近はお洒落なカフェもふえていて、カフェ巡りなんていうのもいいかもれない。
貴重な六百五十円は、コスパを考慮した結果、 カフェまるふじ(marufuji)のレモンスカッシュと豆乳パンに投入することに。外観はとてもカフェとは思えない渋い感じ。(食べ物の写真もせっかく撮ったのに、失敗してしまった。また行こう。)
帰路 - エンドロール
なぜ、別所線を全駅制覇しようと思い立ったのか旅を終えた現在は謎である。 「1日まるまるフリーきっぷ」とかいうものの存在を、たまたま知ったからだったかもしれない。 旅を終えて思うのは、「田舎の観光は車が便利☆」という元も子もないものであるが、 一方でローカル線にのって周った今回の短い旅は、冒険に近いように思う。
「地元」という地の利はありつつも、知らない場所をノープランで歩き回るという少しの不安とワクワク感。 本来であれば絶対に使わない「中野駅」や「八木沢駅」を利用するなんて、冒険でなければなんだというのか。 気ままに、自由に、時に休み、時に歩くこの冒険は、せわしない観光旅行では手に入らない「贅沢な休日」だった。
最後に、旅の恒例のスタンプを押してこの冒険の締めくくりとしよう。
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